経尿道的水蒸気治療(WAVE)

経尿道的水蒸気治療(WAVE)について

水蒸気を用いて前立腺肥大症を治療します。低侵襲かつ異物を体内に残さずに治療することが可能になります。
Rezum(レジューム)システムを使用して、103℃の水蒸気を9秒間噴霧し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ組織を壊死する治療を行います。 既存の前立腺肥大症に対する温熱療法とくらべ、水蒸気を利用しているため対流によってムラのない治療効果が実現され、尿道粘膜や性機能温存を可能としています。血液をさらさらにする薬(抗血小板薬)を内服されていても治療は可能です。
 治療時間は15分程度で、治療効果は、おおよそ2週間程度、長くても3カ月後には排尿状態の改善が期待できます。

治療の流れ

手術後のバルーンカテーテルが抜去可能となるまでの入院期間(5~7日間)で行います。

入院

入院翌日が手術になりますので、前日から入院し手術に備えます。

手術

手術前に麻酔を行うためあまり痛みはありません。尿道に膀胱鏡を挿入し、WAVE手術を行います。 手術は約15分後に終了し、尿道にカテーテルを挿入して尿道の確保を行います。

術後の経過観察

入院中、痛みや尿の状況を確認、細菌感染の有無など観察します。 術後5-7日目でカテーテルが抜去できる状況となれば、カテーテル抜去し、排尿状態を確認します。排尿に問題なければ退院とし、排尿困難が遷延するようであれば、バルーン再留置とします。退院1カ月後に外来を受診していただき、退院後の状況を確認します。

再発時の対応

前立腺肥大症の再発で排尿困難となった場合は、WAVE手術かその他の治療を選択します。

術後の経過
手術後2週間~3か月程度は前立腺がむくんでいるため術前よりも尿の出方が悪いことがあります。徐々に前立腺のむくみが取れ組織が壊死し治療効果が現れるようになります
カテーテルを抜去しても尿が出にくい状態の時にはカテーテルを再留置して1週間程度経過を見る場合があります。
術前に尿閉(尿が全く出ない状態)で尿道カテーテルを留置していた患者さんや自己導尿をしていた患者さんでは、術後もしばらくの期間、尿道カテーテルの留置や自己導尿が必要となる場合があります。外来で経過観察しながらカテーテルの抜去、自己導尿の離脱を検討します。

経尿道的水蒸気治療(WAVE)の合併症

尿道の痛み・違和感

水蒸気注入やカテーテルによる尿道や会陰部の違和感・疼痛を感じることがあります。鎮痛剤などで対応します。

尿路感染症

稀に前立腺炎、膀胱炎などの細菌感染症が起きることがあります。治療の際には抗生物質の投与を行います。

肉眼的血尿

穿刺した部分や壊死した前立腺組織から出血し血尿が出現することがあります。止血剤の内服などで対応可能なことがほとんどですが、稀に麻酔をかけ止血術が必要になる場合があります。

排尿困難

排尿困難の原因が前立腺だけでなく膀胱の機能低下にもある場合には、症状が改善しにくいことが予想されます。

性機能障害
性機能への影響が少ない治療法ですが術前と全く同じ状態が維持されるかは個人差があります。精液量が減る可能性があります。
しばらくの間、精液に血液が混じりますが異常ではありません。
数ヶ月から1年以上たってから尿道が狭くなることがあります。

治療の適応

高齢者であり、ほかの前立腺肥大症治療を行うのに困難な場合に行います。
手術の方法としては、従来からの経尿道的前立腺切除(TUR-P)、前立腺レーザー蒸散術(ThuVAP、PVP)といった術式がありますが、全身状態によってこれらの手術を選択することが難しい患者様に対して、低侵襲なRezūmによる手術が適用できます。
Rezūmによる治療に適応する前立腺の大きさは30~80mL程度とされています。
当院では、低侵襲かつ根治的な前立腺ツリウムレーザー蒸散術(ThuVAP)も提供しているため、術前に前立腺の重量、形態を慎重に判断し、どちらがご本人に最適な治療化を判断し治療を提供致します。
低侵襲で有効性の高い前立腺肥大症治療です。手術適応や治療方針につきましては、患者様と十分に相談したうえで、決めていきますので、お気軽にご相談ください。

治療成績

短時間で終了する低侵襲手術ながら、良好な治療成績が示されています。
海外での臨床試験成績(5年)では、術前に比べて排尿スコアの改善(国際前立腺スコア;48%, QOLスコア; 45%)がみられ、尿勢に関しても最大尿流量率が44%改善しています。また、再手術率も4.4%と低率になっています。

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